接ぎ木は、台木の樹液流動が始まった頃(≒芽が動き出した頃)に、休眠状態の穂木を接くのが基本です。
落葉果樹は、冬の間に穂木(休眠状態)を採取して、これを土の中に埋め又は冷蔵庫で保存し、3月(台木の樹液流動が始まる頃)に接ぎ木します、
柑橘類などの常緑樹は、3月中旬〜4月上旬に穂木を採取して、冷蔵庫で保存し、4月中旬〜5月中旬頃に接ぎ木するのが一般的のようです。
 しかし、これらのやり方だと穂木の保存管理(場所、温度、湿度など)が必要となり面倒です。
 そこで、私は穂木の保存管理を省略し、各果樹の芽が動き出す3週間位前〜直前期を狙って穂木の採取と同時に接ぎ木を行います。
 なお、ブドウは緑枝の接ぎ木の方が成功しやすいです。キウイは緑枝の接ぎ木も可能です。

<私流の接ぎ木法>
接ぎ木のポイントは台木と穂木の形成層同士を合わせることです。 形成層とは、枝を削った時に「木質部」と「樹皮」の境に「線のように見える層」のことです。
@原則として台木に左右対称のV溝を形成する割接ぎで行いますが、枝が細い場合は、 左右非対称のV溝を形成する偏形割接ぎ(自称)で行います。
 最初に台木のV溝を形成し、次に、このV溝に合わせて穂木をクサビ状に削ります。
 台木にV溝を形成する時の「枝の持ち方/切り込み方」は、こちら→ ナイフの使い方へを参考にしてください。

A穂木は、出来るだけ、前年に発生した充実した枝で、台木と同じ太さのものを選びます。 こうすれば台木と穂木の形成層が自然に合うからです。
 やむを得ず台木よりも穂木が細い場合は、台木と穂木の片側の形成層同士を慎重に合わせます。

B穂木の芽は1〜2個とします。 出来るだけエネルギーの集中を図る為です。
C作業は台木と穂木の切削面が乾かないうちに速やかに行います。


写真
6/8 徒長していたデコポンの枝を剪定して、ただ捨てるのは勿体ないのでお遊びで「切り接ぎ」 (3本)をしておきました(3/30)。断面が3角形の未熟な枝で、どうかなと思いましたが、1本は 既に新葉が出て(左の写真)、他の2本は未だ沈黙状態ですが、枯れてはいないようです。
2014.2.11.
接ぎ木3本中2本成功。
台木は「カラタチ」。
芽が動いていない穂木を確保できるなら6月でも接ぎ木は可能のようです。
写真
2013.7.13. 品種保存の為、枯れそうな枝を採取し、別の苗木に接ぎ木(全て成功)
写真
穂木は春に発生した出来るだけ充実した枝を使用する。切断面からヌルヌルの樹液が出て穂木が滑って接ぎ木テープが巻き難いが、ビニールテープで下止めすると容易になる。
写真
5月の緑枝接ぎに比べて切断面から出るヌルヌルの樹液は少ない。